2005年05月28日

最近読んだ本 「Twelve Y.O./福井晴敏」

「川の深さは」に続いて、福井晴敏の小説。
執筆されたのは「川の深さは」が先なのだが、出版されたのはこちらが先で、公式な意味でのデビュー作に当たり、本作は江戸川乱歩賞を受賞している。

「Twelve Y.O.」は独立した一つの作品だが、「川の深さは」の続編とも言え、時系列的に繋がっているので、「川の深さは」の中で起きた事件や登場人物がストーリーの端々に登場する。
勿論、順序通りに読んでいなくても各々の作品として問題無く楽しめるが、順序通りに読み進む事でストーリーに更に深みが増すと思う。

登場人物やその人間関係は「川の深さは」によく似ており、強靭な精神と肉体を持つ青年、心に翳りを持つ彼の愛する女性、そしてそれに絡む元ヘリパイロットの熱いオヤジ。
そして合衆国を相手に米軍の沖縄撤退を要求し、脅迫と実力行使を行うテロリスト「12」。
ストーリーの根幹には自衛隊と、その存在理由。

米軍により沖縄で秘かに開発されている特殊兵器。
荒唐無稽なフィクションでありながら、実際に有ってもおかしくないと感じさせてしまう、福井氏のアイデアとストーリーには「ローレライ」「川の深さは」同様に驚かされる。むかっ(怒り)

でも、本当にフィクションなのだろうか?がく〜(落胆した顔)
特殊兵器とは言わなくても、米軍が秘かに核兵器を日本国内に持ち込み配置している…なんていうのは、決してあり得ない話ではない気がする。

防衛庁傘下の DAISの様な極秘の超法規活動を行う組織というのも、実際の機能や行動のレベルは違うにしても、存在してもおかしくない。

現代の日本国民が持ち合せていない危機管理意識、おいらも含む世代の政治・経済への無関心化傾向など、確かに耳の痛い内容だ。
自分では何一つしないし、出来ないのに、不平や不満、批判ばかりを口にする大人。

フィクションではあるが、日本の抱える現実を確かに捉えていると思う。たらーっ(汗)

ただ、テロリストとなった「12」が世界的なスキャンダルの証拠を抱える為、誰も手を出せないという部分に関しては、余りに現実離れしてしまっていて、本当にそういうものなのか少し引っ掛かる。(ネタバレになるので説明も出来ないから、ここを読んでくれている人には何の事言っているのか分らないだろうなぁ爆弾
posted by 太鼓屋 at 22:00| Comment(5) | TrackBack(1) | 最近読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
太鼓屋さん、こんにちは。

昨日、TVでやってましたが、福井さんは、仕事が暇だったので、映画の脚本を自分で書いてみようとしたら、いつのまにか小説になった。という様な事を言ってました。この作品もやはり映画風ですよね。

ある作品と他の作品が繋がっているのは、読み手としては、面白く感じて私は好きです。
Posted by yuhki at 2005年05月29日 10:25
>yuhkiさん
こんにちは。

福井氏の「仕事」って何なんだろう?
「仕事が暇だから…」と、何か別のことに手を染めて、それを成し遂げてしまうのも凄いですね。普通は片手間にしかならないと思うんですが…。

そもそも映画の脚本ってのは、小説とは何か違うものなのかな? 脚本と聞くと頭の中にテレビなんかの台本が浮かんじゃうんですが、あれはあくまで台本で脚本じゃないんだろうなぁ。(^^;)

「Twelve Y.O.」の解説で大沢在昌氏が書いてましたが、「川の深さは」が乱歩賞の最終選考まで残りながら受賞を果たせず落選した翌年に応募されたとの事。
この作品が「川の深さは」のストーリーを前提に書かれている点は、ある意味で著者の賭けというか挑戦だったのではないかと思いますね。その時点では「川の深さは」は未だ世の中に出ていない訳だし、選考委員がその辺りをどう評価するのか分らない訳ですから。

根が単純なのか、私は福井氏の作品を読むと、所々で涙ぐんでしまってます。自分自身が何処か冷めていて「熱く」ないせいか、「熱い」オヤジの話には憧れ、感動してしまうのかなぁ。(汗)
Posted by 太鼓屋 at 2005年05月29日 13:10
太鼓屋さん、こんばんは。

福井さんは、警備会社に勤務されていたみたいですよ。

私も、福井さんの作品の存在は知っていたのですが、「軍事ものか。。」で長い間、敬遠していました。でも、福井作品の魅力はそこでは無いですよね。
登場人物が「熱い」です。そして、泣けます(笑)。そこが魅力で、次々と読み始めました。
Posted by yuhki at 2005年05月30日 19:29
yuhkiさん、こんにちは。
なるほど、警備会社に勤務されていたんですか。
「川の深さは」では、主人公がもろに警備会社勤務ですもんね。警備会社の事情も、作中に確かに書かれていましたね。
Posted by 太鼓屋 at 2005年06月01日 12:22
太鼓屋さん いつもどうもです。

 「亡国のイージス」・・・
 「終戦のローレライ」から先に読んだ私には
 正直ローレライほど面白いとは思えなかった
 ですが、おかげで海軍にははまりました。
 一昨日も舞鶴に行って自衛艦を見学してきました。

 いやはや、男の子は戦艦には弱いです(笑)
Posted by ぱい at 2005年06月06日 07:56
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BOOK>Twelve Y.O.
Excerpt: 私亡国のイージスから福井晴敏にはいって、本作を読んだんですが、さらにその前の物語
Weblog: RAKUGAKI
Tracked: 2005-12-07 06:03
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