中国・韓国・日本の監督・俳優・スタッフによる合作だが、原作は紛れもない日本発なのである。
おいらが知っている原作は漫画(劇画?)で、世間的にもその方が良く知られているのだと思うが、元々は小説だったらしい。

戦国時代の中国で兼愛・反戦を説いた墨子が起こした墨家という集団。
墨子の思想を広く布教する教団という集まりでありながら、食糧の生産や土木・治水、兵器や戦闘に至るまでの様々な技術を備えた技術者集団であり、様々な人々の要請に応え、報酬を求めることなく、援助・協力を行う。
戦乱の世、国と国とが相争う、様々な権力との結びつきの中で、その墨家も腐敗・堕落の道に進み始めていた。
大国同士の戦の狭間に置かれ、圧倒的な兵力に責めたてられる小国から防衛の支援要請を受けた墨家は、あろうことかそれを断ろうとする。
腐敗した墨家の中に有りながら、始祖墨子の教えに忠実で戦闘技術に突出した才を持つ墨者 革離は、墨家の意向を無視、協力を得られないまま、単身、小国の防衛に向かった…。
実はこの原作漫画、週刊誌への連載当時にも何話か読んだ事はあったのだが、1〜2年ほど前に書店で文庫サイズになっているのを偶然見つけて購入し、全巻を読んだところだった。
絵はリアルな劇画調で、ストーリー展開も巧み。一気に読み切った憶えがある。

映画化の話を聞いた時は意外だったが、期待も大きかった。
主人公の革離は原作ではお世辞にもハンサムとは言えない頑固オヤジキャラなので、アンディ・ラウの起用には正直不安を感じた。
しかし、実際に映画を観てみると短髪に髭をはやした精悍な印象はなかなかハマっている様に思う。
敵役とも言える大国「趙」の名将 巷淹中を演じているのは韓国の名優アン・ソンギで何本かの韓国映画で見掛けたことのある、貫禄ある名優だ。
小国「梁」の王やヒロイン、武将を演じている俳優については何の知識も持ってなかったが、皆、高い演技力を持つ良い俳優ばかりだと思う。
特に、身勝手な梁王とその家臣を演じている役者は、本当に憎らしい嫌な奴を見事に演じている。



ストーリー的には、戦乱の世の権力に取りつかれた王侯貴族や人間の浅ましさ、時代に翻弄される人民の姿がリアルに描かれていると思うし、その中で己の信念を貫き通す主人公の強さ、迷い、哀しみが胸を打つ。
原作漫画の長大なストーリーをそのまま映像化するのはそもそも無理なので、かなり絞り込んだエピソードでまとめられているが、ありがちな原作と映画のギャップに感じる幻滅をも殆ど無かったと思う。
試しにネットで検索してみると、個人のブログなどでは映画では説明不足な部分が多いと結構厳しい評価も有る様だが、個人的には良い出来だと思う。
強いて物足りなかった部分を上げるとすれば、原作に登場する「飛蝗」のエピソードが無く、妙な気球を登場させていること。
後は、無理矢理設定されたヒロインとそれを巡るストーリーだろうか。
是非、漫画でも良いから原作を読んでみて欲しいと思う。
香港で製作される武侠作品などは、映画でヒットすると、それを連続テレビシリーズとして製作しているものも多いが、本作は是非そう言う形でも良いから、もっと多くのエピソードを映像化して欲しいと思う。
音楽を担当しているのは日本人の川合憲次という人らしいが、重厚感と哀愁を感じるテーマ曲が映像と相まって、なかなか効果を上げていると思う。
こちらも公式サイトで流れているので、一聴してみて欲しい。
「墨攻」の公式サイト



拙ブログへコメントしてくださって、ありがとうございました!
ところで記事内にありますマンガのカバーに映っている人物が革離でしょうか?映画の中に出てきたあのスキンヘッドのおっちゃんに似てますね!もしかしたらあれは原作ファンへのサービスでしょうか(笑)
私は原作を一度も読んでいませんが、映画での熱気球は歴史的にかなり無理があったと思いますし、逸悦の存在もおそらくさほど必要はなかったと思いますね。
でも映画を盛り上がらせる要素としてはアリだったかなとも思っています。
そうそう、ここ最近、川井憲次さんはよく中華作品で楽曲を提供していますね。墨攻もそうですが、龍虎門や七剣などもそうでした。中でも七剣のサントラが一番良かったです。
コメントありがとうございます。
ご推察の通り、コミック本のカバーは革離ですが、漫画本編のキャラクターをかなり劇画タッチに描き換えた絵なので、本編のイメージより大分カッコ良いですね。
漫画がお嫌いでなければ、読んでみられるのも面白いと思いますよ。
「七剣」は映画は観ましたが、確かテレビシリーズも有りましたね。
そちらは未見ですが、期待して良いでしょうか?(^^)